サラリーマンにお勧めの図書「「原因」と「結果」の法則」

何をやってもうまくいかないと思ったときに読みたい本

「「原因」と「結果」の法則」は、1902年に英国の作家であるジェームズ・アレンによって出版された書籍です。

日本には仏教用語に由来する「因果応報」という言葉がありますが、世の中にあることには全て何らかの理由があってその結果が導き出されるものだ、ということを自然に理解していることと思います。

しかしそうは思っていてもズルやインチキをした人が世の中で大成功をしていたり、頑張ったり我慢をしたりしている自分が周囲に一向に認められず、失敗ばかりを繰り返してしまうということもまた世の中では起こります。

「何をやってもうまくいかない」という時期は長い人生の中で必ず訪れるものですから、そうしたときにこそ「「原因」と「結果」の法則」を読んでみてもらいたいです。

作者のジェームズ・アレンは19世紀後半から20世紀初頭までの間に活躍した英国の自己啓発作家であり哲学者であった人物で、「「原因」と「結果」の法則」は代表的な著書とされています。

「「原因」と「結果」の法則」は原文では「As a man Thinketh」といい、直訳すると「人が考えるように」という意味です。

本のテーマになっているのは本人の心の持ちようによって世の中は変化をしているという事で、もし今よくない結果ばかりに付きまとわれているなら、それは自分自身がそういう結果を呼び込みやすい考えに陥っているからだといいます。

ジェームズ・アレンの残した言葉に「不幸せの原因は他の誰かの身勝手ではなく、自分自身の身勝手である」というものがありますが、うまくいかない時期こそ世の中や周囲の人ではなく自分自身を深く省みるようにしたいところです。

宗教によらずに自己を啓発するところに意味がある

欧米文化というのは古代からキリスト教が社会生活に根深く関わってきたことから、自己啓発も宗教的な観点から行われることが多くありました。

しかしこの「「原因」と「結果」の法則」は、宗教的な思考から離れた自己分析による自己啓発をしているという所に、大きな意味があります。

書籍内には「自己制御は熟練技能」としている箇所もあり、自分の感情や思考のコントロールは何か見本があってその通りにすればよいというわけではなく、自分自身で深く思考することでようやく達成できるものとしています。

「「原因」と「結果」の法則」が出版されてから既に100年以上が経過していますが、それでもまだ世界中でベストセラーとして読み継がれています。
特定の価値観によらない普遍的な倫理観の確立が、多くの人に受け入れられたということでしょう。

この本は読むことがゴールではなくスタートなので、ぜひ明日からの自分を変えるために手にとってみてください。

サラリーマンにお勧めの図書「世界は感情で動く : 行動経済学からみる脳のトラップ」

世の中は合理的にはできていないことがわかる本

「世界は感情で動く : 行動経済学からみる脳のトラップ」は、統計や実験による行動経済学の観点から、世の中に起こる事象をまとめた書籍です。

私達は普段の生活の中で数多くの経済活動をしていますが、それは必ずしも合理的な判断によって行っているわけではありません。

例えばふらりと街を歩いていたときに見かけた品物を衝動的に買ってしまったり、自分の周囲で同じようなものを持っている人がいるのでなんとなく自分でも買ってみた、というような具合です。

他にも「自分の予想はいつも当たる」や「記憶力がよく幼い時の記憶も明確に残っている」といった経験は、多くの人にあるのではないかと思います。

個人レベルで見るとそうした感情による経済活動は特に問題のないありふれたことです。
しかし世の中という広い目で見た時、そうした感情的な経済行動が、時に政治やマクロな経済動向を形成していたりします。

行動経済学とはそうした集団の経済行動を過去の事例をもとに研究したもので、必ずしも合理的でさえあれば世の中に受け入れられるわけではない、という疑問を明らかなものにしています。

普段から「自分はいつももっとも合理的と思うことだけをしている」と思っている人ほど、案外こうした感情のトラップにかかってしまっている事が多いので、自分の行動を振り返るという意味で一読をしてもらいたい、おすすめの書籍です。

不確実な世の中になると人は非合理的な行動に出る

著者はダニエル・カーネマンとエイモス・トベルスキーの二人で、主に1970年代後半~1980年代前半にかけての経済行動を詳しく研究してきた学者です。

研究の結論として、「人は不安定な未来に直面した時に不合理な行動に出る」としており、その傾向をいくつかの規則に分類して解説しています。

具体的には「プロスペクト理論」という、リスクを伴う決定をする時にどういう思考をするかということで、利益と損失の両方を避けられない時にどういう行動をとりやすくなるか、ということを本書の中で示しています。

行動経済学は非常に奥が深く、現在もまだ研究をされている分野ですが、その入門書としてこの本は非常にわかりやすくまとまっています。

セールスや経営の仕事をしている人はもちろんのこと、一般教養としても非常に興味深い内容となっているので、より幅広く読んでもらいたいです。

選挙や会社の人事採用といった現場のような「人を選ぶ」場面においては、必ずしも利益と損失が目に見えるわけではありませんので、直感や感情による曖昧な選択というものが顕著になってきます。

特に株価の予測など大きな視点で見たときの経済学の理解が大きく変わってきますので、一冊読み終わるときには世の中を俯瞰して見ることができるかもしれません。

サラリーマンにお勧めの図書「ビジョナリー・カンパニー 2 – 飛躍の法則」

ベストセラー「ビジョナリー・カンパニー」の続編

「ビジョナリー・カンパニー」は1994年に出版された、全米の会社への調査をもとにした優秀な会社の紹介書籍です。

選出された企業は長期間持続する成功を導き出しているといい、もともと小さな企業としてスタートしたものがどういった流れで急成長したか、といったプロセスを丁寧にまとめていました。

発売以来ベストセラーとなった大人気のビジネス書籍ですが、2001年に待望の第二弾として発売されたのが「ビジョナリー・カンパニー 2 – 飛躍の法則」です。

この本は前作同様に約1500社を超える企業調査をもとにその特徴を述べており、調査をする中で浮かび上がってきた意外な真実や特徴を項目別に紹介しています。

興味深いのは飛躍を導いた経営者の特徴として「カリスマ的な魅力を持った人物というよりも、地味で謙虚な人が多い」ことや「目標を決めてから人選するのではなく、人選をしてから目標を定める」といったことを述べている点です。

また、同じく成功した経営者は自社の業務をしっかりと把握しており、世界一になれる分野はどこにあるかや、経済的原動力はどこにあるかといった冷静な判断をしていると言います。

時には会社の中核事業となっているものをバッサリと切り捨てる覚悟も持っているとしており、これからのリーダー像についてかなり深く考えさせてくれます。

全米で飛躍を遂げている会社とは

前作「ビジョナリー・カンパニー」と第二弾の「ビジョナリー・カンパニー 2 – 飛躍の法則」は、同じく飛躍した会社を丁寧に取り扱っているものの、その切り口は大きく異なっています。

前作「ビジョナリー・カンパニー」では、どちらかというと現在飛躍している企業はどういったところに原動力があるかということを多面的に分析しており、結論として経営者の存在が最も大切としています。

しかしそうした結論は、経営者に恵まれない会社は全て成功することができないという結論にも読み取れてしまうので、納得ができない読者も多くいたようです。

そこで「ビジョナリー・カンパニー 2 – 飛躍の法則」では、経営者以外の要素で飛躍することができるか、ということを丁寧に研究しています。

先に触れたいわゆる「地味で謙虚な経営者」というのは、会社が成長中の時期であっても自らをマスコミに売り込んだり、自分の野心を実現しようとはしない人であるとしています。

すなわちそうしたタイプの経営者は、自分のことよりもむしろ会社の成長を真摯に考えており、それが結果的に冷静な判断につながっているのです。

新たなリーダー像が述べられたことにより、通り一遍ではない経営者像が浮かび上がってきたと言えるでしょう。