ベストセラー「ビジョナリー・カンパニー」の続編

「ビジョナリー・カンパニー」は1994年に出版された、全米の会社への調査をもとにした優秀な会社の紹介書籍です。

選出された企業は長期間持続する成功を導き出しているといい、もともと小さな企業としてスタートしたものがどういった流れで急成長したか、といったプロセスを丁寧にまとめていました。

発売以来ベストセラーとなった大人気のビジネス書籍ですが、2001年に待望の第二弾として発売されたのが「ビジョナリー・カンパニー 2 – 飛躍の法則」です。

この本は前作同様に約1500社を超える企業調査をもとにその特徴を述べており、調査をする中で浮かび上がってきた意外な真実や特徴を項目別に紹介しています。

興味深いのは飛躍を導いた経営者の特徴として「カリスマ的な魅力を持った人物というよりも、地味で謙虚な人が多い」ことや「目標を決めてから人選するのではなく、人選をしてから目標を定める」といったことを述べている点です。

また、同じく成功した経営者は自社の業務をしっかりと把握しており、世界一になれる分野はどこにあるかや、経済的原動力はどこにあるかといった冷静な判断をしていると言います。

時には会社の中核事業となっているものをバッサリと切り捨てる覚悟も持っているとしており、これからのリーダー像についてかなり深く考えさせてくれます。

全米で飛躍を遂げている会社とは

前作「ビジョナリー・カンパニー」と第二弾の「ビジョナリー・カンパニー 2 – 飛躍の法則」は、同じく飛躍した会社を丁寧に取り扱っているものの、その切り口は大きく異なっています。

前作「ビジョナリー・カンパニー」では、どちらかというと現在飛躍している企業はどういったところに原動力があるかということを多面的に分析しており、結論として経営者の存在が最も大切としています。

しかしそうした結論は、経営者に恵まれない会社は全て成功することができないという結論にも読み取れてしまうので、納得ができない読者も多くいたようです。

そこで「ビジョナリー・カンパニー 2 – 飛躍の法則」では、経営者以外の要素で飛躍することができるか、ということを丁寧に研究しています。

先に触れたいわゆる「地味で謙虚な経営者」というのは、会社が成長中の時期であっても自らをマスコミに売り込んだり、自分の野心を実現しようとはしない人であるとしています。

すなわちそうしたタイプの経営者は、自分のことよりもむしろ会社の成長を真摯に考えており、それが結果的に冷静な判断につながっているのです。

新たなリーダー像が述べられたことにより、通り一遍ではない経営者像が浮かび上がってきたと言えるでしょう。