改正の経緯

2009年に公文書管理法が制定され、公文書の管理について定めています。
文書の作成から保存まで、全体の管理方法についてまとめている法案です。
これを具体的にするために、行政文書の管理に関するガイドラインが作られました。
作成から保存はもちろん、管理態勢、移行や廃棄など、すべてにおいての管理方法についてまとめています。
また作成した文書に対する、保存期間も決められています。

ただ、この中の法案では、1年未満の保存期間に該当する文書の扱いがあいまいとなっており、問題になりました。
法案では、軽微な内容である文書は作成する必要がなく、歴史公文書に該当しなければ、作成しても保存期間は1年未満となり、すぐ廃棄する事も可能です。

そのために、保存期間1年未満の文書は、その機関の考えによって、どれが該当するかを決めることができ、たとえ重要であると思われる文書でも、不都合があれば、廃棄できました。

さらにもう1つの問題としては、文書の組織での共有です。
職務で作成した文書に対しては、共有すべきと法案で決められていますが、個人で作成した文書であれば、共有の必要はないのです。
つまりは、いくら業務用に使う文書としても、個人用としてしまえば、共有の必要はなく、勝手に廃棄できます。
これには、上司ヘノ報告用文書など、業務で使う書類でも、個人用と決めることが出来ます。

このような問題があったので、ガイドラインの改正が始まり、問題点をカバーするように、法案内容が変更されました。

ガイドラインの主な内容

まずは1年未満で廃棄しても良いという文書については、いくつか分類を上げて、具体化しました。
それは、写しの書類、業務連絡用、問い合わせ対応内容、意思決定途中で作成した文書など7つに分けられます。

ただこれでも、まだ個人用に作成した文書については言及されておらず、抜け道は残したままとなります。
これについては、今後のさらなる改正によって、対応されることでしょう。

また、もう1つ改正で重要となる部分は、誰かとの打ち合わせについてです。
従来はこの範囲については規定はなかったために、記録する必要はなく、後で確認しようとしても、言った言わないと口論になることもありました。
しかし改正では、該当する事項に対する打ち合わせについては、文書を作成し記録するようにと決められました。

文書作成では、打ち合わせの相手方の確認を取るようにする、さらには、正確性を出来るだけ確保するようにと決められました。
そして、記録することが難しいような場合は、そのことも記録に残すようになっています。
これによって、重要な事柄の打ち合わせ内容については、文書として記録されるので、後で確認すれば、どのような内容かわかります。