幸福の条件となる「フロー体験」とは

「フロー体験 喜びの現象学」は、世界思想社から出版されているM.チクセントミハイによって著された書籍です。
初版は1996年8月ですが、現在も人気のある自己啓発本として多くの場所で推薦されています。

まず本のタイトルにもなっている「フロー体験」についてですが、これは「一つのことに没頭することにより、他のことが気にならなくなる状態」のことを言います。

もともと作者のチクセントミハイは「楽しみ」や「喜び」といった感情を研究してきた米国の心理学者であり、その中から人生の幸福の要素として導き出されたのが「フロー体験」なのです。

同じ世界思想社からはチクセントミハイの著書として「楽しみの社会学」や「フロー体験とグッドビジネス-仕事と生きがい」「スポーツを楽しむ-フロー理論からのアプローチ」といった書籍が刊行されています。

これらはいずれもフロー体験を主軸にしつつ、人生においてどういった思考や行動をとっていくべきであるか、ということを考察しています。

日本においてもストレス解消の手段として趣味やスポーツに没頭することが勧められていますが、それをより意識して行っていくことにより、科学的根拠に基づいた幸福感を得ることができます。

このフロー体験は別の言い方としてスポーツ選手の「ゾーン」や、宗教や儀式における「エクスタシー」と表現されることもあります。

近年多くのメディアで取り上げられている「発達障害」の一つ「ADHD」において、その特徴の一つに特定のことにこだわってそればかりを行うというものがあるのですが、それもこのフロー体験に深い関わりがあると考えられます。

意図的にフロー体験に入るための方法とは

「ゾーン」や「エクスタシー」と同等なものとしてフロー体験をとらえてしまうと、よほどの修行や鍛錬がなければ体験は難しいのではないかと思ってしまうでしょう。

しかし本来フロー体験は誰でも体感することができることであり、何度も体験をしていくことでより簡単にその状態になることができます。

ポイントとしては「過程に対して明確な目標がある」ということと「行動に対してフィードバックがある」「挑戦と能力が釣り合っている」「行為と意識が融合している」などの条件をクリアするということです。

ただし何か特定のことをすれば誰でも同じようにフロー体験になるというわけではなく、その過程はそれぞれ異なるので自分自身の能力や適性から方法を発見していく、ということが必要になります。

どのようにして自分にとってのフロー体験を見つけるかは本に詳しくパターン別に記載がありますので、ぜひ自己分析をしながら見つけていってください。